ホウ酸の水溶液(高濃度)『ホウ酸イオン水』
シロアリ、ダニ、カビ腐朽菌、難燃対策に。
ホウ酸は一般的に水に溶かして使用しますが、ホウ酸は水(20度)に対してわずか5%程度しか溶けず、これではホウ酸水として効果が得られる濃度とはいえません。
シロアリやダニなどの害虫対策に利用されるホウ酸水。ほかにもカビや木材の腐敗、延焼から守る用途に利用されるホウ酸水。他に類を見ないその際立つ一番の特徴は、効果が半永久的である事と人体に対する毒性の低さです。
弊社の販売するホウ酸イオン水は、2015年より開発検証を繰り返した結果、清水に対してホウ酸塩の溶解濃度31%(最高濃度)という高濃度ホウ酸水溶液です。
ホウ酸イオン水の概要
商品名:ホウ酸イオン水
内容量(正味):500g・1000g・2000g・18000g
内容成分:ホウ酸塩、清水
液性:中性、弱アルカリ性
使用上の注意:粘膜と消化器官からのみ吸収されるのでスプレー霧を吸入しないこと。使用時に手袋を使用するか取扱後はよく手を洗うこと。噴霧の吸引を防ぐため屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
製造国:日本
ホウ酸イオン水24 | 水1000ml:ホウ酸450g | 500ml、1L、2L、4L |
ホウ酸イオン水27 | 水1000ml:ホウ酸550g | 500ml、1L、2L、4L |
ホウ酸イオン水31 | 準備中 | 準備中 |
弊社では、ホウ酸とホウ酸塩以外の物質を利用しないホウ酸塩濃度27%の水溶液を「ホウ酸イオン水」として、2019年12月から「シロアリ・ダニの昆虫(害虫)対策になるホウ酸水溶液」の試験販売し、2023年に有効なホウ酸水として十分に実用可能なホウ酸イオン水をご提供できる状況となりました。
ホウ酸によるゴキブリやシロアリなどの昆虫類およびカビ細菌の一部、腐朽菌などの抑制に対する効果は世界各国の文献や実検証により、その効果や特性、毒性を十分に確認できるものとなっています。弊社では多様な環境下において、生成したホウ酸水がダニやクロアリ等の昆虫、カビ腐朽菌に与える影響度を複数のホウ酸水により実証を繰り返すことで得られた結果から生成したホウ酸水溶液ををホウ酸イオン水としてご提供致します。
しかしながら、例えばシロアリに対する効果の永続性、つまり「10年後そして20年後、そして30年後ににどうなったか?」という部分については弊社の実検証が不十分です。万が一にも皆様の大切なお家を実験台にするようなことはできませんので、シロアリ長期予防の業務用途については慎重に進めているというのが現状です。
もっとも、信頼できる文献や検証結果では、ホウ酸水がシロアリに効果があり、化学的、生物学的な理論上においても、ホウ酸の死に至らしめる効果は永続するものと考え差し障りはありません。
ホウ酸の濃度について
ホウ酸イオン水24は、水1000g(1000ml)に溶解濃度45%分のホウ酸塩を使用して生成されたホウ酸の重量濃度が24%(w/w%,wt/%)の水溶液です。*
ホウ酸イオン水28は、水1000g(1000ml)にホウ酸塩を溶解濃度55%分を使用して生成されたホウ酸塩の重量濃度が27%(w/w%,wt/%)のホウ酸が溶けている水溶液です。*
ホウ酸イオン水30は、水1000g(1000ml)に600g以上(溶解濃度にして60%以上)のホウ酸塩を使用して生成された重量濃度30%のホウ酸が溶けている水溶液です。*
ホウ酸水(ホウ酸塩水)のホウ酸濃度の特徴と限界
ホウ酸は、10℃の水100 mlに対して3.95 g、20℃では4.8 gしか溶解しません。つまり、ホウ酸水をホウ酸から生成した場合のホウ酸濃度は、重量3.79%、重量4.58%が限界となり、これがホウ酸の溶解限界(飽和点)という事になります。また、ホウ酸以外のホウ酸塩の溶解度もほとんど同じ5%程度が限界です。
しかしホウ酸の特徴として水の温度によって溶解度が変化することが挙げられます。例えば、塩の溶解濃度は水温に関係なく36%、塩水として重量濃度26%になり、26%の塩水が20℃から10℃になった場合でも水中に塩の結晶はみられません。この点、4.58%のホウ酸水100gが20℃から10℃になった場合は(4.58g-3.79g=)1.09gの結晶が生じ(析出)ます。
ホウ酸イオン水の用語の説明
あいまいさを払しょくし、意図しないミスリードとならないためにも本ページ上で使用する用語の定義や意味をご説明します。
溶解濃度とは・・・水の〇〇%に当たる量のホウ酸を加えたときの○○%のことです。
重量濃度とは・・・ホウ酸イオン水の○○%はホウ酸になります。
成分: 弊社のホウ酸イオン水は、主成分として国内精製の純ホウ酸(>99%)を使用しています。また、ホウ酸と同等の効果成分を含んだ同等に毒性と安全性を持つ無機ホウ素化合物のみを使用しています。
効果成分とは・・・「虫、腐朽菌、難燃対策」に対し一定の効果を示す無機成分で特にホウ素のこと。
安全性とは・・・ホウ酸と同程度の人に対する多面的な安全を指します。その反面、ホウ酸と同様の毒性を含みます。
ホウ酸の持続効果: ホウ酸は無機質で無揮発なため、シロアリ、ダニ、クロアリ、ゴキブリなどの昆虫対策の効果は、水で流されない限り半永久的に持続します。そして生体分解もされない為、一定の範囲に留まり続ける効果も期待できます。また、腐朽菌や難燃性への対策にも変わらない持続効果があります。
人に有害となる成分や揮発成分: この水溶液(ホウ酸イオン水)には、合成化学殺虫成分や有機溶剤、キレート剤、リンなどは一切含まれておらず、水以外の揮発成分は含まれていません。具体的にホウ酸イオン水に限れば、噴霧されたものが鼻や口から体内に入らない限り無害です。人の皮膚からの吸収はホウ酸水に24時間晒されたばくぁいでも0.12~0.22%程度です。仮に体内に入った場合でも粘膜と腸から吸収され、腎臓の働きにより24時間で大部分が排出され、後に尿中かr100%排出されるので体内に蓄積されることもありません。
ホウ酸イオン水の使用方法
使い方: 必要に応じて使用直前にきれいな水で薄めることを推奨しています。一般的には、水溶液を蓄圧スプレーに入れ、対象に向けて塗装するように一気に噴射を1回行います。一度の噴射で目に見えるほどのホウ酸による被膜が形成されます。*ハケ塗りでもご利用いただけます。
保存方法: 密閉して保存することで室温での長期保存が可能ですが、性質上、低温下の保存では結晶の析出が生じる場合があります。室温とは15℃~25℃を想定。
ホウ酸とは?
ホウ素(元素B)を含んだ無機化合物です。
ホウ酸やホウ砂はホウ素を効率よく利用するために一番多く用いられるホウ素化合物です。
ホウ酸の製造方法
ホウ酸の製造方法はいくつか存在します。中でも一番多いのはホウ砂からホウ酸を作る方法です。
ホウ砂の製造方法にもいくつか方法がありますが、大多数のホウ砂はホウ酸塩鉱物から不純物などを取り除き、分解する方法で作られています。
また、ホウ素を含む無機化合物は、其々同じような性質をもちます。
[無機ホウ素化合物} | [化学式] |
---|---|
ほう酸 (オルトホウ酸) | B(OH)3 |
四ほう酸ナトリウム (ホウ砂) | Na2B4O |
過ほう酸ナトリウム | NaBO3 |
三酸化二ほう素 | B2O |
三ふっ化ほう素 | BF3 |
ホウ酸は難分解性を有しており、生物的な分解もされないため劣化しないホウ素化合物といえます。
ホウ酸は古くからホウ酸団子としてゴキブリの殺虫に使用されてきました。他にもガラス、医薬品(防腐消毒薬、あん法)、ほうろう、ニッケルメッキ添加、コンデンサ、防火剤、防腐剤、染料の製造、融剤、触媒、人造宝石、化粧品、写真薬、化粧品、石けんなどの用途があります。
虫をホウ酸で死滅させる
ホウ酸が虫の体内に入るとその虫はホウ酸を代謝できずに死にます。
ホウ酸(ホウ素)にはダニやゴキブリなどの虫に対しての忌避性がありません。忌避性とは虫が嫌い寄り付かなくなることを言います。虫を死滅させる効果があったとしても、忌避性があると虫が寄り付かないので効果が発揮できません。しかしほう酸には忌避性が無いので、ダニやゴキブリ、シラミ等の虫はホウ酸が毒だと認識させないまま死滅させることができます。確かに、防虫には忌避性が必要だと考えられますが、忌避性は一般的に揮発成分、死滅させることはできません。
耐性を持つことが無い
カビや細菌、腐朽菌の抑制
ホウ酸濃度が一定以上のホウ酸水は、カビや細菌、木材を腐らせる腐朽菌を抑制します。
中でも木材を腐らせる腐朽菌の対策で使用されることが多いホウ酸水ですが、その効果は腐朽菌の増殖や活動をを静める静菌作用となります。
昭和60年に日本薬局方から除外されるまで、医療用医薬品としてホウ酸軟膏が切り傷などで使用されていました。そして、ホウ酸の効果は菌類が増殖できない環境を作ることで発揮されます。こういった事情もあり、殺菌、滅菌、消毒という表現は薬機法等の規制により行えません。
吸水するものに難燃性を与える
ホウ酸の持つ難燃性とは、ホウ酸を含んだものが燃え広がることを抑えることに役立っています。特に木材に耐火性を持たせるために利用されることが多く建築材として利用されています。
ホウ酸を難燃目的で利用するには、高濃度のホウ酸水が必要です。これは、ホウ酸を対象物にしみこませることが必要だからです。ホウ酸水を染み込ませることにより、炎が燃え広がることを抑えるので、カーテンや障子など、吸水するものの殆どに耐火性を持たせることができます。
ホウ酸の毒性・安全について
ホウ素はそれ単体ホウ酸の化学式はH3BO3またはB(OH)3ですが、ここから酸素(O)と水素(H)を取り除けばホウ素(B)になります。酸素(O)や水素(H)も単体としての毒性を持ち得ますが、ここでは水(H2O)の毒性が「成人の致死量10-30リットル/日」という事も踏まえ、無視しても差し障りはないと考えることができますので、ホウ素の毒性がホウ酸の有する毒性と考えられます。
もっともホウ酸塩つまりホウ素化合物の中には、70度以上に加熱すると有害性を有したり、炭酸と混ぜると有害物質が生じたりといった特性があるので取り扱い注意が必要です。
ヒトに対する毒性については次のような報告があります。
アメリカの大規模ホウ砂採鉱・精錬プラントで5年以上働く労働者629人 (うち女性26人) を対象とした横断研究では、非喫煙労働者で咳、粘液分泌過多、慢性気管支炎、喫煙歴ありの労働者で息切れの訴えに有意な増加傾向がみられた。ただし肺機能検査及び胸部X線検査の結果とばく露濃度に関係がなかった。
ホウ酸(ホウ酸塩)が人に対してどの程度の毒性を持つか、あるいはその安全性を知るために有用といえる情報はページで紹介します。
なお、ホウ酸は労働安全衛生法によりSDSの提供が義務付けられていますが、作業基準値についての定めはありません。
ホウ酸は人の生殖に対して毒性があるらしい?
厚生労働省では、関連情報として「ヒトでは職業的にホウ酸ナトリウムにばく露された既婚男性作業者の集団から生まれた出生児数を米国の一般人既婚者からの出生児数とを標準化出生率 (SBR) により比較調査した研究において」「ホウ酸ダストへの高レベルばく露による生殖毒性影響はみられなかったが、出生児男女の性比が通常と異なる結果 (女児が増加: 意義は不明と記載) であった」とされ、人に対する生殖毒性については「ラットでは母動物に一般毒性影響のない用量から奇形の誘発が示されている。しかし、ホウ酸化合物のヒトにおける生殖毒性に関する知見は乏しく、実験動物における生殖発生毒性影響がヒトに当てはまるかどうかは不明である。」としています。
積極的に安全であるとは言えないが、信頼できる毒性が認められた事例はないとされています。
ホウ酸のホウ素が重要
シロアリやダニ、カビなどの予防で重要なのはホウ酸ではありません。重要なのはホウ酸に含まれるホウ素とその質量です。こういった理由から、○○ホウ○○というホウ素の無機化合物であれば、同様の効果が見込めます。これは、1gのホウ素化合物(ホウ酸やホウ砂など)により多くのホウ素が含まれるほど、高い効果が得られることになります。
しかし、ホウ素単体では水に溶けず(不溶性)、ホウ素化合物も難溶性のため、実用レベル濃度のホウ素を含んだ水溶液を生成するのは容易ではありません。
ホウ酸イオン水はホウ素を水に溶かすという事に着目し、ホウ酸と○○ホウ酸○○と名の付く化合物を一定の環境下で反応させて、水中にホウ酸およびホウ酸塩として全溶解させて溶解濃度を23%以上にした常温で使用できる水溶液です。
ホウ酸水とは?
ホウ酸水が一般利用される場面は、
- シロアリやダニなどの害虫駆除や予防の対策
- 木材などをカビや菌から守り腐らせない防腐性を与えるため
この2つです。
他にもホウ酸水は木材や断熱材に難燃性を与える用途にも利用されますが、産業用に利用されるのが殆どです。
ホウ素は水に溶けない?
元素(記号 B)であるホウ素は水に不溶解とされています。ゆえにホウ素の水溶液を生成することはできません。水溶液として利用するにはホウ素化合物を溶解させて用いることになります。しかし、そのホウ素化合物でさえも水に難溶です。代表的な無機ホウ素化合物の水に対する溶解度は水100mlに2~5g程度と非常に低いものとなっています。
B(OH)3: 5.48g/100g(25℃) 、4.72g/100g(20℃)
Na2B4O7: 3.07g/100g(25℃) 、3.13g/100g(25℃)
NaBO3 :2.69g/100g(21℃、4 水和物)
B2O3:2.2g/100g・H2O(20℃) 4.72%(w) (20℃)
BF3 :3.32g/100g・H2O (0℃)
ホウ酸を水溶液にする理由
粉末のホウ酸を利用せずに、水溶液にする理由は「効果を得るため」です。粉洗剤に例えれば、着ている上着にの汚れに粉洗剤を振りかけただけでは汚れは落ちませんが、ホウ酸を壁や柱に降りかけただけでは虫を殺したり難燃性を持たせたりすることはできません。
そして、粉末のホウ酸が昆虫を死に至らしめるには体内に入る必要がありますが、ダニでいえばその餌となるものに接着させるのが効果的になり、その方法にはスプレーが効率的となります。シロアリでいえば食害する木材にある程度しみ込んでいるのが理想といえ、そのためには水溶液である必要があります。
なぜホウ酸の水溶液?
ホウ素は水に溶けません。そのためホウ素を水溶液として利用するには、ホウ素化合物を用いらなければなりません。このホウ素化合物を溶かした水は、ホウ素が溶けた水として十分に利用できる水溶液になります。
そして、入手しやすいホウ素化合物の中で最も取り扱いやすいのがオルトホウ酸です。
また、水中ではホウ素化合物はホウ酸またはホウ酸塩イオンの形で存在するのでホウ素の水溶液を生成するにはホウ酸を利用します。特に中性の水中ではホウ酸の分子がホウ素化合物の主成分となります。ホウ酸イオン水もその他のホウ素化合物も水中ではホウ酸またはホウ酸塩イオンの形で存在するので、ホウ酸の水溶液、つまりホウ酸水といえます。もすることになります。そして、を含むものになります。生成された水溶液は結果的にホウ酸またはホウ酸塩イオン